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7月29日 4時限目

五神 真 東京大学 総長
「光科学への招待」



「東京大学の敷地面積は日本の国土のおよそ一千分の一を占めています」。
東京大学総長である五神先生は、東京大学の紹介から講義を始めました。学生数、教職員数が膨大であることからわかるように、大学は巨大な組織であり、総長というお仕事は多岐にわたるそうです。
「こんな仕事もあるんです」と紹介されたのは、大学野球の始球式の写真。総長のイメージとは違う姿に、塾生も驚いていました。



「総長の仕事の話はここまでにして、今日は研究の話をします」。
「研究は楽しい」と題して先生が語るのは、学生時代から取り組む光の研究について。
光とは何か。波なのか粒子なのか。光の科学史について掘り下げていきます。波動性と量子性を併せ持つという光の不思議な性質を、塾生たちは興味津々に聞いていました。

続いて、光を利用した技術、レーザーに話が移ります。
「五十年前、レーザーが誕生したころ、レーザーは何の役に立つのかわからない純粋な基礎研究だと言われてきたのに、今では私たちの生活に革命をもたらしている」というオバマ大統領の言葉を用いて、レーザーを支える基礎的な研究、例えば、誘導放出や光波合成について解説しました。
光科学技術は日本の得意分野であり、先端レーザー技術を用いたものづくりの研究が進んでいることを、写真や動画を交えて説明します。



一方、「人類は科学技術を社会に役立てる知恵を、十分に備えていない」と、先生は言います。
大学での学びに必要な力は、「知識の量ではなく、基本となる知識を柔軟な発想によって使いこなす力である」と、先生は強調しました。塾等の試験で偏差値という数値がよく使われますが、とんでもないことを成し遂げる優秀な人を表すのに偏差値という値はまったく役に立たないそうです。



最後に、発想を生み出す力、考え続ける忍耐力、原理に立ち戻って考える力が大切だとも先生は言います。
「ぜひ好奇心を大切にしてください。こちらでお待ちしております」。
東京大学の総長からお話が聞けて、塾生も東京大学を身近に感じられたようです。



(1期生:佐々木 駿)



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