8月3日 1時限目
宮本 一弘
開成中学校・高等学校 教諭
「水の電気分解・酸アルカリの中和反応・反応熱に関する実験」
実験名人の宮本先生。身近なところにある化学を、実験とともに紹介していきます。
「薬局などで売っている、叩くと冷たくなる保冷材の中には、何が入っているのでしょうか」と、宮本先生は塾生に問いかけます。何か特別な材料が入っているように思われる、このタイプの保冷材。実は、水と園芸用肥料として売られている尿素が入っているだけなのです。
袋を叩くと、保冷材の中に入っている水の袋が破裂し、水と尿素が化学反応を起こして保冷材が冷たくなります。今回、塾生たちはこの保冷剤を身の周りにあるものを使って作りました。
まず、アルミホイルで水を入れるための袋を作ります。そして、その中に水を入れ、尿素とともにジップロックの中に入れれば完成。
塾生たちが手作りの保冷材を叩くと、あちこちから「冷たくなった!」という声が。ジップロックの中のアルミホイルが破れて、尿素が水に溶けだしていました。
単にモノが水に溶けるだけのこの現象。尿素が特別な物質と思われるかもしれませんが、他の物質が水に溶けるときも温度は上がったり下がったりしています。食塩や重曹が水に溶ける時も温度は下がり、反対に炭酸水素ナトリウムなどでは熱くなるそうです。
次の実験は、塾生たちも既に学校で勉強している「水の電気分解」。
学校の実験では、特別な器具や電源装置、また、水酸化ナトリウムなどの危険な薬品などを使いますが、今回は身の回りにあるもので実験器具を作り、水の電気分解を行います。
使うのは、ミョウバン、電池、弁当用の小さな醤油さし、電極はゼムクリップです。
まず、ゼムクリップを伸ばし、それを醤油さしに差し込みます。そして、醤油さしの中にミョウバンの水溶液を入れ、電極を電池につけて電気を通すと、電極に小さな泡が付いてきました。これが、水素と酸素。
電気分解ができた証拠です。
水素と酸素が溜まった醤油さしの口を、火に近づけると…ポン!と大きな音が鳴りました。
それを体験した塾生たちには驚きと、実験が成功した安堵の表情が見られました。
世の中には、さまざまな化学が利用されています。それを身の回りにあるもので再現し、実験することもできるのです。化学のおもしろさに、塾生たちは夢中になっていました。
(2期生:高山宗子)