レポート一覧

一流の講師陣による講義・実験の様子をレポートします。



7月28日(金) 1時限目

有馬 朗人
塾長 (元 東京大学総長・元 文部大臣)

「科学を探究する楽しみ」


 開塾式を兼ねた夏合宿最初の講義は、塾長の有馬先生。はじめに、塾生たちに、『創造性の育成塾』を始めた理由をお話しいただきました。

 「大学生になってから各分野の著名な方々の話を直に聞いた時、もっと早く、こんな話を聞く機会があればよかった、と思った。だから、今の中学生たちには、一流の人たちと直に交流し、大いに刺激を受けてほしいと思って、この塾を始めました。」
合宿では、各分野の最先端を担う先生方の講義を生で聞くだけでなく、食事の際に講師の先生方と同じ席で交流を深められるようになっており、そうした経験を通して、たくさんの刺激を受けてほしい、と塾生たちに呼びかけました。

 次に、先生が大学で原子物理を専攻するに至るまでの経緯を語っていただきました。
小・中学生時代にした手作りモーターや電池式ラジオといった様々な実験や、石原純の『世界のなぞ』や『古事記物語』など理科だけにとらわれない多様な分野の本が、その後のご自身にどのような影響を与えたのか懐かしそうに語られ、困難の多かった高校・大学では、「苦労しても何とかなるもんだ」と、前向きに、かつ楽しみながら、物理だけでなく多様なことを学んだ経験を語られました。

 残りの時間は、ご自身の専門でもある原子物理について。
長岡半太郎やラザフォード、ボーアによる原子の土星型構造の提唱から中性子の発見、湯川秀樹によるパイ中間子理論など、原子の世界を学生時代の研究と絡めながら、中学生にもわかりやすく話してくださいました。 理科好きの塾生たちにとっての初めての講義、最初から最後までみんな目をらんらんと輝かせて先生の話に聞き入っていました。


(5期生:宮園健太郎)


講師紹介

1953年に東京大学理学部物理学科を卒業され、大学院に行かれた後、1971年からニューヨーク州立大学の教授をされ、帰国後、東京大学理学部教授を経て、1989年から 東京大学総長に就任。 その後、化学研究所の理事長、1998年から、文部大臣と科学技術庁長官を兼務されました。 日本を代表する原子核物理学者として長年研究を続けられ、1978年には「原子核の集団運動現象の解明」に対して、「仁科記念賞」を受賞されたのをはじめ、ドイツのフンボルト賞、アメリカのベンジャミン・フランクリンメダル、フランスの「レジオン・ド・ヌール勲章」、イギリスの「名誉大英勲章」など各国の賞や、2010年には日本の「文化勲章」を受賞されています。


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