8月6日 2時間目(10:30~)

矢野 和男 (日立製作所 技師長)

人工知能がつくる未来


2限目は、今回の夏合宿でも何度か登場した「人工知能」についての講義です。9年前から、左手首にリストバンドをつけて生活しているという矢野先生。そのリストバンドに隠された秘密が講義で明らかになります。

「このリストバンドは、先生の身体の動きを感知して身体リズムを計測している」。そういって矢野先生は、計測された9年間のデータをスライドに示します。「一日中活動的な記録が残っている日は何をしていたのだろう?」「この日は朝まで活動的だがなぜだろう?」と塾生に問いかけ、分析させます。

身の回りの現象を数値としてデータ化することで、新しいことが見えてきます。人の身体運動という膨大なデータを収集したところ、「身体運動の多様性が集団の幸福感につながる」という結果が得られたそうです。

例として挙げたのは、あるコールセンターについて。そこで働く人に、同年代の人とグループで休憩時間を取らせると、売り上げがアップしたとのこと。スポーツなどの運動だけでなく、声を発するなど小さな動きも身体運動に含まれます。つまり、このコールセンターでは、休憩時間のおしゃべりなどの従業員のハピネスが、売上げにつながることがデータによってわかったのです。

「幸福感・ハピネスは、業績や健康への万能薬」と矢野先生は言います。「データから社会全体の生産性・効率を抜本的に上げることができる。幸せになってハピネスを高めてほしい」と塾生にメッセージを送りました。

講義の後は、塾生から多くの質問がありました。
「どうして人工知能は自ら学ぶのか」「人工知能の改良すべき点は?」
「人工知能を開発する側として、その危険性についてどう考えているか」など、人工知能に関する質問や先生の意見を聞く塾生の姿が見られました。

 

(5期生 土山絢子)



略歴

1984年 早稲田大学物理修士卒。日立製作所入社。
人工知能学会、応用物理学会、電子情報通信学会、日本物理学会会員。


■研究業績■

1993年 単一電子メモリの室温動作に世界で初めて成功。
2004年から先行してウエアラブル技術とビッグデータ収集・活用で世界を牽引。論文被引用件数は2500件。特許出願350件。

「ハーバードビジネスレ ビュー」誌に、「Business Microscope(日本語名:ビジネス顕微鏡)」が「歴 史に残るウエアラブルデバイス」として紹介されるなど、世界的注目を集める。

のべ100万日を超えるデータを使った企業業績向上の研究と心理学や人工知能からナノテクまでの専門性の広さと深さで知られる。

2014月に上梓した著書『デー タの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会』が、 BookVinegar社の2014年ビジネス書ベスト10に選ばれる。


■受賞歴■

博士(工学)。IEEE Fellow。日立返仁会 総務理事。
東京工業大学大学院連携教授。文科省情報科学技術委員。
1994年 ISSCC 最優秀論文賞
2007年 Erice Prize
2012年 Social Informatics国際学会最優秀論文、日立返仁会空盡賞など 国際的な賞を多数受賞。


Pick Up

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