7月30日 1時限目
山口 晃弘 品川区立小中一貫校八潮学園 校長
「考察しよう。どうしてそうなるの?
~同じ誕生日の人がいる確率・氷釣りの不思議」
「おはようございます、昨日はゆっくり眠れましたか」
山口先生が問いかけて、挙手でアンケートを採ると、ゆっくり眠れたという人があまりいません。塾生たちも昨日から緊張が続いているようです。「合宿は始まったばかりですから、健康に気をつけてがんばってください」と呼びかけました。
「事物現象を科学的に捉えることは面白い」と切り出して、実験が始まります。
まずは誕生日の重なる確率について。
教室にいる全員の誕生日を知るために、先生はちょっとしたゲームを提案。誕生日が早い順に教室の端から並んでいき、壁沿いに一周する輪を作ります。ただし、その間、一切言葉を使わず、身振り手振りでコミュニケーションしなければいけないという条件付きです。スタートの合図がかかると、塾生たちは徐々に輪を作り始めました。周りの塾生に、手指で誕生日を伝えます。しばらくして輪が完成しました。
一番目の塾生は1月1日生まれ、そしてなんと二人目の塾生も1月1日生まれ。
いきなり同じ誕生日が出たことに、教室は驚きに包まれました。それぞれの誕生日を発表していくと、同じ誕生日が数組いることがわかりまりました。
集団は23人を超えると、誕生日の同じペアができる確率が50パーセントを超えるということが計算によってわかります。
「では、このような確率の計算はなんの役に立つのでしょうか」と、先生。
「ギャンブル」
との塾生の回答が、笑いを誘いました。
先生は、自転車やスペースシャトルなどの部品の多さを紹介し、その分、壊れる確率が高くなることを教えてくれました。確率は安全の度合いを知るのに役立っているのです。
続いては、氷釣りの実験。氷とたこ糸と塩が塾生に配られました。 「糸に氷をつけて持ち上げる方法を自分で見つけてください」 試行錯誤すること数分、「釣れました」という声がちらほらと。楽しげに、ああでもない、こうでもないと挑戦している声があちらこちらから聞こえてきます。
塾生が続々と氷釣りに成功していく中、一本の糸で何個もの氷を釣ってしまう塾生も現れました。
考察しながら工夫していくことを、塾生も楽しんでいたようです。
最後に先生は、クエン酸と重曹の吸熱反応を見せてくれました。
「固体の状態では反応しないのに、水に溶かすと反応がはじまるのはなぜか」という問いにも、塾生たちは考えをめぐらしていました。
盛りだくさんの実験に、現象を科学的に理解することの面白さを感じることができたのではないでしょうか。
(一期生:佐々木 駿)