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8月2日 3時限目

高橋 政代 理化学研究所 網膜再生医療研究開発プロジェクトリーダー
「iPS細胞を治療に使うための研究」



「“IPS細胞”という言葉を聞いたことはありますか」という質問から始まった高橋先生の講義。
ここは、さすが育成塾の塾生。ほぼ全員の手が挙がっていました。
実際のIPS細胞はまるで生き物のよう。その培養は難しく、愛情をもって育てていくそうです。こうして培養されたIPS細胞から網膜や脳を作れる時代になりました。



多能性を持ったIPS細胞ですが、先生がIPS細胞の研究に携わり、それが脚光を浴びるまで、長い時間がかかったそうです。もともと眼科医だったという高橋先生。はじめはES細胞の研究を、その後IPS細胞を研究するようになり、その中には医師だからできたこともあったそうです。また、医学だけではなく、他の分野のトップの科学者や企業と関わり、そうした人たちとの議論も行いながらIPS細胞は完成しました。



IPS細胞は、癌化や老化した細胞の治療に使える可能性があり、世界中から脚光を浴びました。受精卵から作られるES細胞は、もともと他人の細胞なので治療の際に拒絶反応を起こす可能性があります。またキリスト教など、一部の宗教の人たちの間では、受精卵の時点で生命と考えるので、倫理的に問題視されました。しかし、IPS細胞は自己の皮膚から作られるため、こうした拒絶反応や倫理的な問題はなく、うまく分化誘導すれば様々な場面で使うことができます。



最後に高橋先生から「分野関係なく、いろんなところに目を向けてほしい」と、塾生へメッセージ。
自分の専門分野をしっかり持った上で少し外に目を向けてみると、境界領域が見えて、自分のやるべき新たな分野が分かるそうです。科学者として物事を疑う心を持ちつつも、信じる心、諦めない心を大切にして、今日も研究を続けている先生。講義後は、そんな先生に塾生からの質問が時間いっぱい続きました。



(2期生:高山宗子)

 




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現職

理化学研究所 多細胞システム形成研究センター
網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー

略歴

1986年 京都大学医学部卒業。1992年 京都大学大学院医学研究科博士課程(視覚病態学)修了。
京都大学医学部助手を経て1995年にソーク研究所研究員となり、
ここで網膜治療に幹細胞使用の可能性を見出す。
2001年 京都大学医学部附属病院探索医療センター開発部助教授。
2006年 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 網膜再生医療研究チーム チームリーダー。2014年11月より現職。
専門は網膜変性疾患・黄斑部疾患と再生医療研究。
特に、iPS細胞を用いた網膜細胞移植の実用化をめざしている。

研究業績

2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授が作製したiPS細胞を用いて、2013年8月より滲出型加齢黄斑変性(しんしゅつがたかれいおうはんへんせい)という目の病気に対する自家iPS細胞由来網膜色素上皮シート移植に関する臨床研究を開始し、2014年9月には第一症例目の移植を行った。

受賞歴

2014.7 2014 Alcon Research Institute award
2015.4 平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞開発部門
2015.9 第1回 Ogawa-Yamanaka Stem Cell Prize
2015.10 兵庫県科学賞
2015.11 京都あけぼの賞    他

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