一流の講師陣による講義・実験の様子をレポートします。
小原 洋平
江戸川区立松江第六中学校
「液晶の構造と色の関係」
みなさんは、「液晶」というとどんなものをイメージしますか?
テレビやスマホ、ゲーム機などを思い浮かべる人も多いと思いますが、これらはすべて、
「液晶ディスプレイ」です。では、それ以外に液晶はどんなところで使われているでしょうか。
たとえば、熱中症予防などのために配られるカードに、気温によって変化する部分がついていますが、ここにも液晶が使われています。これは、液晶の温度によって状態が変化する性質を利用しています。
液晶とは、固体と液体の中間状態(=液体結晶)を指す言葉で、特定の物質を指す言葉ではありません。分子の方向の規則性を持つ一方、分子の位置に規則性がない状態を意味します。ただし、どんな物質でも液晶になるわけではなく、細長い棒状の高分子のみがこの状態をとることができます。
液晶の概念を理解したところで、液晶づくりに挑戦です。
つくり方は簡単。渡された薬品に水を加え、ひたすら撹拌します。粘りけが出てくると、次第に構造色が現れてきました。
構造色とは、色素による発色ではなく、物質の層構造などによって発言する色のこと。
今回作った液晶は、液晶の層がらせん状になっているコレステリック液晶のため、光が干渉して、液晶がプリズムのような働きをし、構造色が現れたのです。またコレステリック液晶は、温度によって液晶の状態が変化するサーモトロピック液晶の一種であるため、お湯で温めると構造色が変化することを確認しました。
最後は、構造色を作る実験です。
偏光板にセロハンテープを貼っていくと、角度によってさまざまなパターンが現れました。
塾生からは、テープを重ねる角度によって色が変わる現象と、液晶の構造色の類似性に関する質問が出ました。先生によると、この偏光板の実験は「円偏光」という現象で、液晶の層構造による構造色とは少し原理が違うとのことで、「夏合宿の後、ぜひ自分で調べてみてください」とおっしゃっていました。
最後に先生は、「“液晶”は日常生活でもありふれた言葉ですが、これまでに調べたことがある人は、この中にいたでしょうか。普段感じた疑問をそのままにせずに調べることはとても大切で、先生から教わるだけでなく、自ら学ぼうとすることで創造性が生まれます。疑問に感じたことを調べる時間や労力を惜しまずに、これからの授業に取り組んでほしい。」とメッセージを送りました。
(2期生 田崎慎太郎)