レポート一覧

一流の講師陣による講義・実験の様子をレポートします。



7月30日(日) 2時限目

遠藤 博則
江東区立深川第八中学校

「火山灰から産出元の火山を特定する」


 「これまでに、火山灰に含まれている鉱物を観察したことのある人はいますか?」
遠藤先生が質問すると、教室のいたるところから手が挙がりました。
「それでは、その鉱物を見て、火山灰がどの火山からやってきたか考えたことのある人は?」
今度はほとんど手が挙がりません。
「今日は、火山灰の中の鉱物を見て、どの火山から来たかを特定してもらいます」と、先生は実験の目的を説明します。

 火山灰の中には鉱物が含まれていますが、その鉱物のどの部分に注目すれば、産出した火山を特定できるのでしょうか。先生が問題を出すと、塾生たちは、自分の予想と根拠をプリントにまとめていきました。

 火山灰は、火成岩と同様に火山活動によって生まれます。火成岩は、溶岩に含まれる二酸化珪素の量や、岩石の固まる時間によって色や含まれる鉱物の大きさなど見た目が変わりますが、火山灰も同様に見た目が変わるそうです。それをもとに、火山灰の産地を特定します。

 火山灰の観察をするために、まずは火山灰の洗浄を行いました。蒸発皿で火山灰を水に溶いて、わんがけ法により火山灰に付着していた泥を落としていきます。ここでも火山灰ごとの特徴が見られました。

 配られたA、B、Cの3種類の火山灰のうち、Aはほとんど洗わなくても泥が落ちたのに、Cはとても泥っぽくなかなか洗い終わりません。

 火山灰を洗浄したら、紙に広げて乾かし、いよいよ鉱物の観察です。肉眼で見ると、Aは黒く、Cは白っぽく見えます。塾生たちは、ルーペを覗いてより詳細な観察に励みました。ルーペで覗くと色の違いがはっきりします。



 つぎに、火山灰の鉱物の色、泥っぽさ、採取地などの情報をもとに、塾生たちは火山灰の産地を推定していきます。各自の考えがまとまったら、班の3人で意見を交換し、特定した産地と、その根拠を用紙にまとめます。制限時間は6分。話し合いをしながら、結論と根拠を整理するのは大変そうでしたが、どの班もまとめを完成させることができました。

 最後に、まとめた内容を、みんなの前で発表しました。
「Aの火山灰の採取地は熊本県阿蘇市。産地の候補は阿蘇山、雲仙岳、桜島となり、鉱物の色合いは黒く玄武岩質の溶岩なので、産地は阿蘇山だと考えられる。」「火山灰に泥がほとんどなく、最近の噴火であることは阿蘇山の活動に矛盾しない」などの意見が出されました。
先生によると、Aの火山灰は阿蘇山ロープウェイに降灰したものだそうです。

 Cの火山灰は泥を多く含むので、古い火山活動によるものであると考えられること、白っぽく安山岩質であること、採取地が東京都立川市であることから、位置と年代、火山の性質を鑑みて富士山であることがわかりました。
少し難しかったBの火山灰は、黒っぽく玄武岩質を示していましたが、産地は桜島でした。桜島では、同じ火山でも噴火によって溶岩の性質が変わることがあるそうで、安山岩質よりも玄武岩質の火山灰が見られるそうです。

 実験を通して、火山灰に含まれる鉱物を観察することで、産地を特定することができることを学びました。単に観察結果の記録に終始せず、結果に基づいて、分析を進めていく面白さを経験できたのではないでしょうか。


(1期 佐々木駿)

 

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