レポート一覧

一流の講師陣による講義・実験の様子をレポートします。



8月1日(火) 2時限目

青木 久美子
世田谷区立千歳中学校

「放射線について」




 2時限目の講義は、世田谷区立千歳小学校の青木久美子先生による放射線に関する講義です。
最初に青木先生から「なぜ放射線が問題となるのか」「放射能を出す物質にはどのようなものがあるのか」など、塾生に質問を投げかけながら、放射線の基礎知識に関する講義があり、その後に放射線測定装置「はかる君」や、霧箱を利用した実験を行いました。

 霧箱とは、普段は目に見えない放射線の飛跡を観察する装置で、エタノールをアクリル製の箱に密閉し、ドライアイスで冷却したものです。
霧箱の上に放射性物質を起き、観察開始。
部屋を暗くして静電気を近づけてみると、霧箱の中に、飛行機雲のようにスッと現れては消えていく放射線の飛跡が観察され、歓声が湧きました。「幻想的だなあ」とうっとりとした表情で眺めている塾生や、写真や動画を撮影している塾生もいました。

 注意深く観察していると、放射線源を霧箱から離しても飛跡は観察でき、また「はかる君」にも反応があることから、室内にも微量ながらも放射線が飛んでいることがわかります。先生からは、「普段から放射線は存在しており、この程度の線量であれば健康に影響がないとされている」と解説がありました。

 次に、鉛やアクリル板、ステンレスなどを用いて放射線の遮蔽効果を調べる実験や、放射線の強さと距離の関係を調べる実験を行いました。「鉛は遮蔽効果が高そう」「アクリルは遮蔽としてはあんまり意味がないかな」とグループで協力・工夫しながら実験を進め、結果についてまとめました。

 続いて、得られた実験結果を元に、原子力発電所の廃炉や、使用済み核燃料の処分、除染といった現実の課題に対して、解決策をグループで考案し、発表しました。
「放射線の強さは距離に反比例する」「遮蔽効果は鉛が一番高い」という実験結果自体は、どの班もほぼ同様でしたが、「鉛は有毒なので、遮蔽する際、近くに人が住んでいる場合には鉄の方が良いのでは」「使用済み核燃料は、地中に埋めると火山活動の影響を受ける可能性があるので、宇宙に打ち出した方が良い」「宇宙に飛ばす時に鉛は溶けるから、地上での遮蔽よりも厚くすべき」など、独創的な提案が多数挙がり活発な議論となりました。

 最後に先生は、「みなさんの未来のために、今日学んだことを『真価』『進化』『深化』させて様々な社会的な問題を解決してほしい」というメッセージで実験を締めくくりました。


(2期生 貴田浩之)


 

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