一流の講師陣による講義・実験の様子をレポートします。
大西 卓哉
JAXA宇宙飛行士
「宇宙飛行士の世界」
塾生に加え、三島市の中学生約30人も招待されて行われた大西先生の講義。 簡単な略歴のあと、宇宙でのご自身の経験についてのお話を伺いました。
まずは、先生が宇宙飛行士になるまでの流れを紹介。
大西先生は学生時代、人力飛行機を作るサークルに没頭し、その時、パイロットという職業が面白そうだと感じたことがパイロットになったきっかけだと言います。その後JAXAの選考を通過し、2011年7月に宇宙飛行士として登録された大西先生。現在、現役日本人宇宙飛行士は7人であることを紹介し、塾生に「皆さんも、ぜひ僕らの仲間入りを目指してください。」とエールを送りました。
「今日はメモを取るよりも、宇宙の現場を見て、感じていってほしい。」と、先生は、宇宙から撮ったたくさんの美しい地球の写真や、宇宙滞在中に行った興味深い実験動画などがたくさん盛り込まれたスライドを紹介していきます。
大西先生が宇宙に出発されたのは、2016年7月7日。
宇宙に到達し、ソユーズから国際宇宙ステーション(ISS)を目にして、「人間がこんな大きな研究施設を宇宙空間に作り上げたということに感動と畏敬の念を抱きました。」など、先生の体験談に、塾生の好奇心はかきたてられたようです。
続いて、宇宙空間における先生の活動について。船内で小動物を飼育したり、船外に大きさ約10cmの超小型衛星を放出したりと、宇宙の無重力状態を生かした様々な面白い実験の動画を見せていただきました。 宇宙飛行士の訓練は、厳しいものがたくさんありますが、その中でも無重力空間訓練では、メンバーが童心に帰って盛り上がる姿が見られ、非常に楽しかったとのこと。先生は、訓練のポイントとして「訓練でできたことが本番で出来ないことはあっても、訓練でできないことは本番でもできないことを自覚すること・本番と同じつもりで訓練に臨むこと・自分にどんどん負荷をかけること」の3つを指摘されました。また、宇宙飛行士の選抜試験については、1000人ほどの応募者の中から最終合格したのは3人ということで、選抜試験の厳しさに塾生も驚いた様子でした。
最後は、質疑応答の時間。現役宇宙飛行士に質問できる貴重な機会ということで、塾生が次々と質問をするのに対し、先生はひとつひとつ丁寧にお答えいただきました。
先生は、「ISS秒速8kmという非常に高速で飛んでいるにも関わらず、地球を1周するには90分かかります。そのことを考えると、多様な国々が集まってできている地球は大きいなと感じました。しかしその中で、日本の上空を通過するのには2~3分しかかかりません。こんなに小さく、アメリカ・ロシア・中国などの大国に比べ資源が乏しい中で、日本が先進国の中で地位を確立できているのは、科学技術のおかげだと思います。今後も日本が世界をリードしていくためにも、みなさんたちの世代が科学技術を発展させていくことが大事です。」という先生のお言葉で、講義は終了しました。
(7期生 因間朱里)