レポート一覧

一流の講師陣による講義・実験の様子をレポートします。



8月1日(火) 4時限目

大久保 秀樹
板橋区立高島第一中学校

「摩擦力の測定」



 3時限目は、大久保先生による実験です。
今回の実験では、摩擦力の測定を行います。実験を通じて、身近な力について知ると共に科学的な手法について学びます。実験器具を組み立て、データを何回も測定して、測定値から誤差を導き出し、さらに測定値から静止摩擦係数の規則性を考えます。
「みんなには今日、嫌なことをやってもらいます」と講義を始めた大久保先生。「何回も繰り返して行う測定や、複雑なデータの計算は大変ですが、科学の手法として大切なことです。」と先生は言います。

まずは実験器具の組み立てです。
ばねばかり、箱、滑車と紐を組み合わせて実験器具をつくります。
実験器具を組み立てたら、次は測定です。重りを箱に入れた場合と入れない場合について、箱が机や厚紙から動いた時のばねばかりの値を読み取ります。先生の「大変だろう」という声とは裏腹に、みんな生き生きと数値を読み取っていました。

 測定が終わったら、測定値から誤差の計算と静止摩擦係数の導出を行います。塾生は、みんな電卓を前に真剣な表情です。中には、「第何桁まで計算すれば良いですか?」といった鋭い質問をする塾生もいました。
静止摩擦係数は、理論上は、箱に重りを入れた場合と入れない場合で同じはず。2つの値がほぼ同じになったグループもありましたが、多くのグループでは2つの値の間にずれがありました。先生からは、今の時代は電卓で大きい数の計算もできるし、小数点以下第何位までも求めることができる。しかし、そのうち第何位までが信じられる値なのかを考えることが大切だ、という言葉がありました。

 最後に、実験により求めた静止摩擦係数をもとに、筆箱を箱に入れた場合の静止摩擦力を予測し、予測値と実験値を比較しました。
身近な力である摩擦力ですが、身近な力の規則性を調べるのは難しいことです。手軽な実験を通じて、塾生は科学的手法に伴う苦労を味わっていました。


(7期生 野村俊貴)

 

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