8/12 実験⑤ さまざまな化学反応~色と光と時間の化学~ 大西 琢也 東京学芸大学附属小金井中学校

理科に興味を持ったきっかけは、中学生の時にやった実験だと話す大西先生。今回は、事前に塾生に届けられた試薬や器具を使って、学校ではやらないようなちょっと変わった化学実験を行います。
実験は、①時計反応、②振動反応、③信号反応、④ルミノール反応の四種類。塾生たちは、Zoomのブレイクアウトルームを活用して4人ずつの班に分かれ、協力しながら実験を行いました。

実験①:時計反応

最初は、小学校で習うヨウ素デンプン反応を用いた実験です。
ヨウ素酸カリウム水溶液と、濃度の異なる亜硫酸水素ナトリウムを含むデンプン水溶液を作り、それぞれを混ぜ合わせてしばらく置くと…最初は透明だった溶液が、突然青紫色に変化しました。しかも、亜硫酸水素ナトリウム水溶液の量によってそのタイミングがずれます。ヨウ素デンプン反応が起こるまでの時間が、亜硫酸ナトリウムによって変わるのです。

塾生たちからも、「おおっ!」と歓声があがります。「反応までの時間何秒だった?」「15秒。」「13秒!」などと、積極的に結果を共有する塾生たち。一緒に実験ができないというオンラインの壁を乗り越えて実験に取り組んでいました。

実験②:振動反応

先ほどのヨウ素デンプン反応を、今度は連続的に起こるようにした実験です。ヨウ素酸カリウム水溶液やデンプン水溶液などの試薬を混ぜ合わせると、溶液の色が、青紫→黄→青紫→黄色…と、どんどん変化していきます。反応速度の異なる様々な反応が、食物連鎖の生物個体数の変化に似た複雑なメカニズムによって連続的に起こるのだそうです。塾生たちは、「周期的に色が変わってる!」「匂いもするかな?」と、結果を観察します。

グループで協力して実験を行う塾生たち

実験③:信号反応

食用色素にも使われているインジゴカルミンと、水酸化ナトリウム水溶液をペットボトルに入れ、そこにブドウ糖を加えるというシンプルなもの。軽くペットボトルを振って根気強く待つと、溶液が、緑→赤→黄色と変化していきます。そこから、ペットボトルを更に振ると、今度は、黄色→赤→緑と戻ってしまいました。これは、インジゴカルミンがブドウ糖とペットボトル内の酸素によって酸化・還元を繰り返すからだそうです。次々と色が変わる溶液に、塾生たちは興味津々の様子でした。

実験④:ルミノール反応

最後は、刑事ドラマなどでも血痕の鑑識に利用されるルミノール反応です。水酸化ナトリウム水溶液や、過酸化水素水、ルミノール、ヘキサシアニド鉄(Ⅲ)酸カリウム(血痕の鑑識では、これが血液となります)などの試薬を混ぜ合わせると、黄色の溶液ができました。一見なにも反応がないように見えますが、部屋の電気を消すと…溶液が青白く光るのが見えます。電気をつけるとただの黄色い溶液ですが、電気を消すと光っているのが見えるのです。何とも不思議ですね…

この実験は、部屋を完全に暗くしないと見るのが難しいので、塾生たちはそれぞれ、場所を変えたりして工夫していました。

青白く光るルミノール反応

最後に大西先生は、「ICT時代だからこそ、実際にやってみないと分からないということを忘れずに、『出会う』『考える』『試行錯誤する』を繰り返すことが創造への第一歩!だと私は思う」「化学実験は、すぐに反応しないからといって何も起こらないとは限らない。見えないからといって何も起こっていないとは限らない。様々な角度から物事を捉え、柔軟で自由な発想を持つことが大切なのではないか。」と、塾生たちにメッセージを残し、第15回夏合宿、最後の実験を締めくくりました。

【記事:田中 咲絵(14期生)】

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