講師紹介

渡部 潤一 国立天文台副台長

宇宙生命は存在するか? ~ 天文学からのアプローチ ~ 

地球以外に生命は果たして存在するのでしょうか?科学者のみならず、一般の人にも興味のある、この問いの答えに迫る方法はいくつかありますが、現在、天文学や惑星科学の側面から、いくつかの努力が続けられています。今回は、いくつかの視点で、天文学からのアプローチがどのようになされ、どのような答えが得られているのか、あるいはどこまでわかっているのかについて紹介します。

講義:8/10 9:00~

津田 雄一 はやぶさ2プロジェクト プロジェクトマネージャ

「はやぶさ2」と太陽系探査

日本の小惑星探査機「はやぶさ2」は、6年間、52億キロメートルの宇宙飛行の末、昨年12月に無事地球に帰ってきました。訪れたのは人類未踏の小惑星リュウグウ。そこで4基のロボットによる地表面探査、2度の着陸/サンプル採取、人工クレーター生成など数々の成果を挙げました。帰還カプセルの中には、リュウグウのサンプルが5.4gも入っていました。険しく難しいリュウグウの探査を完ぺきにこなしたはやぶさ2の宇宙の旅を振り返りながら、太陽系探査の意義、面白さ、難しさについて紹介します。

講義:8/10 10:40~

杉山 将 理化学研究所 センター長・東京大学 教授

人工知能研究のこれまでとこれから

人工知能で用いられる機械学習は,コンピュータに人間のような学習・予測能力をもたせる技術です。この講義では、機械学習によってなぜ予測ができるようになるのか、その原理を解説します。そして、雑音や情報不足に対処するための最新の機械学習技術を紹介します。最後に、将来の人工知能研究が向かうべき方向について、みなさんと議論できればと思います。

講義:8/11 9:00~

永井 良三 自治医科大学 学長

医学と科学:さまざまな考え方を理解する

医学研究や医療を実践するには、科学的な考え方と技術をよく理解しておく必要があります。例えば、最近の内視鏡検査では、通常の白色光だけでなく、青色レーザーがよく使われます。これは赤血球に含まれるヘモグロビンという蛋白が、青い色をよく吸収することによります。そこで粘膜を青いレーザーで照らすと、毛細血管から返ってくる光が少なくなります。したがって血管は暗い線として見えやすくなり、血管の走行が乱れるがんが発見しやすくなるという理屈です。
また、科学的に効果があると考えた治療が、かえって患者さんの状態を悪化させることもあります。このため医学では理論だけに頼りすぎないように注意し、現実をしっかりみながら、方針を修正する必要があります。そのための学問が統計学です。
医療は限られた資源を有効に使わなければなりませんから、先進的な医療を開発するだけでなく、誰もが医療を平等に受けることのできる社会体制や適切な医療費のあり方などの研究も重要です。これが社会医学とよばれる学問です。
医学は人間の心や体に介入します。また医療は社会の共通の財産です。このため医療では平等、公正、透明性、説明責任が求められます。最近は人工知能(AI)が注目されていますが、AIの論理を説明することは困難です。医療のAIが高機能になれば、AIにも倫理が求められます。

こうしたさまざまな考え方を理解して個々の患者さんに最適の医療を行うのが医学です。医学は考え方の異なる学術からなる総合学術ですので、理科系から文科系の勉強の基本をできるだけ身につけておく必要があります。講義では、科学の歴史を振り返りつつ、医学に必要な科学と、医学に特有の考え方について紹介します。

講義:8/11 13:00~

上田 正仁 東京大学大学院 理学系研究科(物理学専科)教授

考える力の鍛え方

創造性は考えることから生まれますが、皆さんは肝心の考える力をどのように鍛えればよいかを考えたことがありますか?抜群の成績で大学に合格する人が、大学に入ってから伸びるとは限りません。また、社会で頭角を現す人が勉強で苦労したという話はそれほど珍しいことではありません。実は、人生の各段階で優秀層はガラッと入れ替わるのです。それはなぜか。そもそも考える力や創造力は天賦のものなのか。実は、考える力は意識的な努力の積み重ねによってシステマティックに向上させることができます。そして、そのような努力ができるかできないかが社会で頭角を現す人とそうでない人の差となるのです。講義では、このことについて皆さんと対話を通じて考えてみたいと思います。 

講義:8/12 9:00~

鈴木 寛 東京大学・慶応義塾大学 教授

SDGs・VUCA・AI時代を生きる君たちへ

今、世の中は250年ぶりの大変革を迎えつつあります。例えば、AI(人工知能)の台頭により、現在ある多くの仕事が近い将来には無くなってしまうと予測されています。また、これまでの社会で通じてきた様々な「常識」が通用しないような想定外の危機(災害やパンデミック)が次々と我々に襲いかかって来ています。このような時代を生き抜くためにはどのような能力が必要なのか。「SDGs」や「VUCA」など、これからの時代を理解するための必須のキーワードとともに、この問いを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

講義:8/12 10:40~

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