8/12 講義⑥ SDGs・VUCA・AI時代を生きる君たちへ 鈴木 寛 東京大学・慶応義塾大学 教授

※この講義の様子は、動画でご覧いただけます。

「私は、育成塾講師で唯一の文系出身」という鈴木先生。
まずは、先生の自己紹介。学生時代は、研究者を志したこともあったりましたが、友人たちと研究などをする中で、法律や政策、予算の確保などで研究者を支援する、応援する側になろうと決めたそうです。東大卒業後、旧通産省に入省、その後は、参議院議員、文部科学副大臣を務めた鈴木先生。その間に、宇宙開発研究の支援やスパコンの研究支援など、様々な研究や技術を裏で支えてきました。

いよいよ、講義の本題へ。

鈴木先生は、「今、世界の歴史で言うと250年ぶり、日本の歴史では150年ぶりくらいの大変革期にあります。君たちは新しい人類史の作り手になれる世代なんです。ぜひ、その先導者になってほしいと期待しています。」と言います。

これからの世界は、自然災害等の環境問題や社会情勢の変化などの「リスク」と、AIや新たな技術の発展などの「チャンス」が混じりあう、予測不可能な「VUCA(Volatility不動性、Uncertainty不確実性、Complexity複雑性、Ambiguity曖昧性)」の時代になるそう。

2年前、新型コロナがこんなにまん延して、世界中の人々の暮らしがこんなにも変わってしまうことを予想した人は誰もいませんでした。このように、思ってもみなかったことが、これからどんどん起こるそうです。

そして、鈴木先生は、「なぜ君たちは科学を学ぶのですか?」と問いかけます。「私の答えは、“未知との遭遇に動じないため”だと思います。科学を学ぶ人は、常に未知なるものと向き合っているから、その正体を少しずつ明らかにしていく手法を知っている。これを探究と言います。君たちは、中学2年生から、この塾で探究するということを知ったので、ぜひ同世代のお手本になってください」と塾生に語り掛けました。

チャットを使い、続々と質問が寄せられました

そして、AIと人工知能や人工生命の話題に移ります。
「どちらにも、リスクとチャンスが存在します。」と鈴木先生は言います。画像診断の易化などのメリットが挙げられる一方で、代替される職業があったり、倫理的問題も孕んでいます。また、iPS細胞の開発を発端に、人工生命も劇的に進みますが、再生医療により不治の病が治るというチャンスがある一方、想定外のリスクもあるそうです。

しかし、こうしてリスクとチャンスの両面があるのは、これまで登場してきた技術も同様でした。高圧蒸気機関や時計、原子力発電、ベルトコンベア式製造方法等、現在では普及しているものも、誕生初期にはその是非について議論を呼んだことがあったそうです。実験や観察、研究ももちろん大切ですが、こうした歴史を振り返ることも重要だと鈴木先生は強調しました。

20世紀は、軍事や経済成長についての技術が大きく広がった時代でした。では、現在・未来の世の中に広がる科学・技術とはなんでしょうか?現在、SDGsや「WELLBEING(より良く生きること)」が注目されており、これらのための科学・技術が必要になってくるようです。

鈴木先生は、ご自身の多様な経験から、未来を担う塾生達に様々なメッセージを下さいました。塾生からも、積極的に沢山の質問がひっきりなしに届き、未来の世界がどの様なものになるのか、注目していることが伝わって来ました。何十年か後に今回の塾生達が活躍している姿や、彼らが創造する世界に期待したいですね!

【記事:古川 舞(10期生)】

講義動画

※この講義の動画公開は終了しました。(23.8.28)

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現職

東京大学公共政策大学院教授、慶應義塾大学政策メディア研究科教授、 
社会創発塾塾長、日本サッカー協会理事、OECD教育政策アドバイザー 

研究業績
政策形成過程、政策デザイン、教育政策、医療政策、情報政策、NPOマネジメント、社会起業、情報社会、知価社会、ネットワークコミュニティ、医療・教育などのソーシャルヒューマンサービスの公共政策、科学・社会・イノベーション、情報教育などを1997年以来、ほぼ継続して教鞭をとり続ける。とりわけ、「情報社会におけるソーシャル・イノベーション、ソーシャル・プロデュース」をテーマに、通産省時代の1995年に自主ゼミを設立。中央大学総合政策学部、慶應義塾SFC、東大駒場キャンパスで続けてきた、いわゆる「すずかんゼミ」の卒業生はじめ教え子は1000名を超え、ITベンチャー、社会起業家、NPO活動家、官僚、メディア、教育、医療、産業界などで活躍中。例えば、被災地復興ボランティア(人づくり、まちづくり)に関わる有力な活動をしている人材の多くが、ゼミ出身者かゼミと強い関係をもっている

著書
『先生復活―にっぽんの「先生」を再生する 』(2007年 ヒトメディア)
『「熟議」で日本の教育を変える』(2010年 小学館)
『テレビが政治をダメにした』(2013年 双葉新書)
『熟議のススメ』 (2013年 講談社)
『ドラえもん社会ワールド 政治のしくみ』(2015年 小学館)  他多数 

 

 

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