※講義の様子を、映像でご覧いただけます。
科学とは何か、自然とは何か、そして生命とは何か―――。
知的好奇心から生まれる生命の疑問に挑み続けている大隅先生。今回は、その研究対象である「オートファジー」についての講義です。
ノーベル賞を受賞した大隅先生の話に、塾生は皆、興味津々です。
大隅先生が最初に注目したのは、植物細胞に含まれる「液胞」と呼ばれる組織でした。
液胞は植物細胞特有の組織で、わたしたちの持っている動物細胞の中にはありません。先生は、竹林の中でたけのこが急激に成長していく様子をとらえた映像を塾生たちに見せながら、植物細胞と動物細胞の違いをはじめ、生物のダイナミックな様子を視覚的に伝えます。
大隅先生が液胞に興味を持った当時、液胞という組織は「細胞内でのごみ溜め場」という認識しかなかった時代だったそうです。
当時、多くの人が見向きもしなかった液胞について、「あまり人がやらないことをやりたい」と思った大隅先生は、この組織を研究対象にすることを決意します。
細胞内での液胞の役割を解明していくうちに、生物は想像以上に動的でダイナミックなものであることがわかってきます。
機械とは違い、たんぱく質で構成される人体は、常に体内で物質がリサイクルされることによって動いているのです。その中で、オートファジーは細胞内の物質を分解する重要な役割を担っています。
大隅先生は、「体内でのリサイクルは生きる上で必須の過程であり、分解は合成と同じくらい大切なこと」と伝え、「すべての生物はダイナミックに相互作用を及ぼしていることがわかってもらえれば」と、講義を締めくくりました。
講義後、初めての質問タイムでは、緊張しながらも塾生が手を挙げて元気に質問をしました。
先生は塾生一人ひとりの質問に丁寧に答え、「学んでいく中で、自分が面白いと思うことを見つけることを大切にし、自分なりの切り口で進んでほしい」と、熱いメッセージを送りました。
(5期生 土山 絢子)
講義の様子を、映像でご覧いただけます。
映像の公開は終了しました。(23.8.28)