実験

考えよう、なぜそうなるのか?(山口 晃弘 品川区立 八潮学園 校長)       

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タイトルを聞いただけでは、何をするか分からないこの時間。
今回の夏合宿で最初の実験ということもあって、塾生の期待も膨らみます。
「科学的な進歩の根底には、おもしろいことを追及したいという思いがあります。
そして、自分で実験する。実験は体験につながり、体験は理解につながります。」
始めに講義のポイントを挙げる、講師の山口晃弘先生。どんな実験を行うのでしょうか。

第1部のお題は“誕生日”です。
初めに、言葉を使わずにジェスチャーだけで、塾生44名が誕生日順に並ぶゲームに挑戦。
ずっと座って講義を聞いていた塾生にとって、ちょっとしたリフレッシュの時間です。

ですが、そこには驚きの結果が待っていました。きちんと誕生日順に並んだかを確認していくと…なんと同じ誕生日の人が3組もいたのです。

実際に確率を計算してみるとどうでしょうか。
「40人のグループで誕生日が同じ人がいる確率は89%になります。こう見てみると、同じ誕生日の人が3組もいたのも納得できますね。」
山口先生の説明に真剣に耳を傾けている塾生たちは、確率の計算の面白さに引き込まれていきます。

では、確率はどのような事に役に立つのでしょうか。
山口先生は、部品の信頼度と製品の安全性を例に説明してくれました。
「部品の数が約100万点のロケットでは、それぞれの部品の安全性が99.9999999%でないと製品の安全性が99.9%確保されないのです。」

第2部のお題は、“見えないことを見る実験”です。精密電子天秤の容器に水をいれると、不思議なことに目盛りが0.0001gずつ減っていきます。何故でしょう。
塾生の間から「蒸発?」という声が聞こえてきました。まさにそうです。
目では見えませんが、水が蒸発して質量が変わっているのです。

「皆さんはこの精密電子天秤を使って、他に試してみたいことはありますか?」と山口先生が問いかけます。ワークシートに自分の意見を書き出し、隣の人と意見交換をして、電池やろうそく、においのするものなど、様々な意見が出ていました。

第3部は、“冷たくなる実験”です。
氷の性質に関するヒントが与えられた後、たこ糸で氷を釣るという課題が出ました。氷に塩をかけたり、糸を押しつけたり、いろいろ試す塾生たち。(もちろん、たこ糸で結ぶのは禁止です)

1分も経たないうちに釣り上げた塾生が出てきました。
その後は、先生からコツを教わり多くの塾生が釣り上げに成功しました。

先生が「どうしてそうなるの?」と問いかけると、ひとりの塾生が手を挙げて自分の意見を積極的に発言。
「こうやって自分の意見を述べることは凄いことで大切なことです。」
塾生の積極的な発言に山口先生も感心していました。

第4部も“冷たくなる実験”。
今度は、手の上で重曹とクエン酸を混ぜ、そこに水をたらす実験です。
水をたらした瞬間、手の上でシュワシュワと反応し始めました。
「みんなに説明してみて!」
「シュワシュワ音がしていて、少し冷たくなった気がします。」
山口先生の問いかけに、塾生がいろんな視点で気付いたことを挙げていきます。

「ではどうして水をたらす前は反応は起きないのに、水をたらすと反応は起きるの?」
最後にヒントだけを塾生に与えた山口先生は、
「この講義では答えは教えません。どうしてだろうと自分で問い続けて、教科書やインターネットで自分で調べてみてください。それが皆さんの創造性を育みます。」
とエールを送ります。

視覚・聴覚・嗅覚・触覚をフルに使って実験を体感した塾生たち。明日からの実験にも期待が膨らみます。

(2期生 福田宏樹)

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