実験

「カタチ」から動物の暮らしを読み解こう (川島 紀子 文京区立文林中学校 教諭) 

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はじめに、簡単な動物のシルエット問題から、頭骨の違いに着目していきます。
ライオンとシマウマの歯を頭骨のイラストに書き込んで、歯には犬歯、裂肉歯、門歯、臼歯など役割の違う歯が生えていることを確認しました。

さて、ここからが本題です。頭骨の形に注目して、その動物の暮らしぶりを予想していきます。
まず、塾生にはゾウ、ライオン、シマウマ、ヤギの頭骨の写真と頭の模型が配られ、それぞれ、噛む回数、どの歯をどのように使うのか、顎をどのように動かすのかを考えます。そして、実際にそれらの動物の餌の食べ方を動画を見て確認しました。奥歯で数回噛んだ後すぐに丸呑みするライオン。前歯でちぎってから奥歯を左右にすりつぶすようにして30回ほど噛むシマウマ。一方でゾウは前後にすりつぶすようにして噛んでいます。
その理由は、「前後に長い臼歯に横向きの溝が入っているから」とある塾生。大正解です!
最後に、左右にすりつぶし何度も反芻を繰り返すヤギ。これには皆大笑いでした。
こうして、同じ草食動物でも食べ方はそれぞれ違っているということを学びました。

次は、実際に頭骨標本を触って観察します。皆、迫力満点の頭骨標本に非常に興味津々。その動物が餌を食べている様子を想像して標本を動かしている塾生もいました。
そして、鼻の形が面白い、頭にヒビが入っている、草食動物と肉食動物では目の周りの骨の構造に違いがある等、歯について以外にもどんどん新たな発見をしていきました。
また、頭骨に関連したこととして、「カエルの変態に際した目の位置の変化」という興味深いトピックも紹介されました。

哺乳類の門歯、犬歯、臼歯のそれぞれの数を歯式で表すこと、その数は種によって違いがあるとのこと。この説明を踏まえ、もう一度、歯式に注目して頭骨標本を観察しました。反芻動物は歯を発達させる代わりに歯茎を硬く発達させることで、咀嚼時の歯の消耗に対応していったことを説明。塾生は納得の眼差しで歯の少ないキリンの顎を見ていました。

最後に、笹を食べることで知られているパンダの歯の形と生態について勉強しました。草食動物のパンダですが、遠い祖先には肉食の食性があった動物の仲間で、肉食動物の歯の形態が残っていると考えられます。そのため、消化効率は草食動物の中できわめて低く、それはパンダの糞や餌を食べる量からも見て取れることを学びました。
カタチと機能に注目して動物を観察すると面白い発見があるということを気づかされた講義でした。

(6期生 野々宮悠太)

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