実験

液晶の構造と色の関係(小原 洋平 江戸川区立松江第六中学校 教諭)        

  • LINEで送る

身近にあって何気なく利用されている液晶。そんな液晶の性質から勉強を始めます。液晶の用途を挙げるように言われると、塾生はパソコン、スマートフォンのディスプレイや電卓のディスプレイとすぐに答えられました。しかし、用途は他にもあります。配布された黒いシートを触ってみると、色が黒から鮮やかな緑色や赤色に変わっていきました。実はこのシートも液晶で、手の温度に反応して色が変わったのです。この性質を利用した温度計が熱中症対策に役立っているそうです。

簡単な液晶の説明を受けた後は、実際に液晶を作る実験です。
ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶かしてただひたすら混ぜるだけの作業。混ぜている途中に完成品が配られると、その綺麗な色に「ええっ!」と驚きの声が上がりました。
ただの白いネバネバした物体が色鮮やかな透明な物体に本当に変わるのかと、皆、疑いの目を向けざるを得ません。しばらくしてから、実は完成品のように綺麗になるには一ヶ月以上の時間がかかると先生が種明かし。塾生たちは、一瞬がっかりしましたが、家に持ち帰ってこれからの変化を楽むことにしました。

液晶の綺麗な色はその層構造に秘密があると小原先生。ここから講義の内容は層構造が生み出す構造色に移っていきました。
構造色とは、色素による発色ではなく、物質の層構造などによって発現する色のこと。身近なものでは、ハト、シャボン玉、貝等の色がそうです。一般に層の数が多いほうが色鮮やかに見えるそうで、次は、構造色の違いからCDとDVDを見分ける実験をしました。書き込める情報量が多いDVDはCDよりも多層構造です。それを元に多くの塾生が2つを見分けることに成功しました。

最後は、透明な酸化被膜を形成するというチタンの性質を利用して、自分で構造色を作る実験です。
中学で習う電気分解を応用した、陽極酸化という方法を用いました。これは工業でも使われている方法で、電圧を調整することで酸化被膜の厚さを調節することができます。塾生は電圧を変えて陽極酸化行うことで、白色のチタンの板を金色や紫色に変えてオリジナルのストラップと作りました。

液晶から始まった講義は光の干渉現象から構造色、さらには電気分解や酸化還元反応の話までつながっていきました。
小原先生は最後に、「どんな応用も小さい基礎の積み重ねによって成り立っています。分からないことがあったときは、調べることで、今まであった知識がどんどんつながっていきます。基礎の知識の色々な組み合わせや応用を考えながら今後勉強に励んでください。」と塾生に言葉を送り、3時限目は終わりました。基礎の知識はいつか思わぬところでつながっていくものです。
塾生には先生の言葉を肝に銘じ、今後の勉強に取り組んでもらいたいです。

(6期生 野々宮悠太)

  • LINEで送る