「観察の大切さ・モデル実験で広がる創造性」上田 尊 練馬区立開進第四中学校
3時限目は、練馬区立開進第四中学校教諭の上田尊先生による実験です。テーマは、「観察の大切さ・モデル実験で広がる創造性」です。先生が最初に自己紹介や学生時代の話をされて、和やかな雰囲気で実験が始まりました。
最初に、上田先生は「実験と観察ではどちらのほうが好きですか。」と塾生たちに問いかけます。「観察が好き」と答えた塾生は少数派で、実験のほうが好きな塾生が大半でした。
次に、先生は、「太陽の色は何色だろうか。」と問いかけます。塾生からはオレンジ色、黄色、白色、などという意見が出ました。答えは、白です。続いて、先生は夕日の写真を見せて、「なぜ朝日や夕日は、赤やオレンジ色に見えるのだろう?」と問いかけます。そこで、塾生たちは夕日が赤く見える理由を考えます。そして、塾生たちは、太陽の光が大気圏を通る距離の違いが原因だと仮説を立てました。
この仮説を確かめるために、先生は、プラスチックの容器に水と牛乳を入れ大気圏を再現。そこに太陽の光に見立てた懐中電灯をあて、光が大気圏を通る距離によって光の色に変化があるかを確かめるモデル実験をおこないます。
すると…あまり違いが確認できませんでした。
では、他の原因を考えます。そして、塾生たちは、ほこりやチリの量が太陽の光に影響を及ぼしているのではないかという新たな仮説を立てました。それを確認するために、大気中のホコリを紙コップの底面で再現します。
光の通り道に紙コップを重ねていく、つまり太陽の光が通る部分のホコリの量が多くなっていくと、光が赤っぽくなっていくことが確認できました。塾生たちは少しずつ実感がわいてきたようです。
続いて、先生は問いかけます。「25ml+25mlは何mlだろうか。」塾生たちは50mlと答えました。では、本当にそうなるのか実験をしてみます。メスシリンダーに入った25mlずつの水を混ぜ合わせます。しかし、結果は50mlよりも少なくなってしまいました。その理由は、メスシリンダー内に水が残ってしまったからであり、これを実験誤差というのだと先生はおっしゃいました。
次に、水50mlと謎の物質25mlを混ぜてみます。すると今度は、泡が出てきて、75mlよりかなり少なくなってしまいました。
「粒子同士の隙間が埋まってしまったからではないか」塾生たちは、こう仮説を立てました。粒子は小さすぎて実感がわきにくいため、スケールを大きくして再現してみます。使うのは、あずきと、それよりも少し小さいもち米です。
すると、混合物の和があずきともち米の体積の和よりも小さくなることがわかり、先ほどの液体でも同じようなことが起きていたのではないかという結論に達しました。先生は、「実験を通して、数学での正解が必ずしも理科で正解になるとは限らないということに気づいてほしい」とおっしゃいました。
先生は最後に、「観察から疑問がうまれ、それを解決するために実験し、わからないことを理解して新しい発見に出会えるので、日常の様々なことを観察する習慣を大切にしてほしい。」という言葉で実験を締めくくられました。冒頭の問いかけで観察が好きと答えた塾生も、そうでなかった塾生も、観察の面白さを感じることができたようです。
(15期生 檜皮理仁)