「『はやぶさ2』と太陽系探査」津田 雄一 JAXA はやぶさ2プロジェクトマネージャ
2時限目は、生命の起源の調査に大きな貢献をした探査機「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャであるJAXAの津田雄一先生の講義です。「小さい頃から工作が好きで、それが何につながるのかを考えているうちにこのような航空宇宙の世界に入っていました。」と先生がこの世界に興味を持った理由についてのお話から講義が始まりました。
まずは太陽系の惑星・小天体についての説明から。
塾生たちに太陽系には何個の小天体があるかと質問すると、様々な解答が出てきていました。
解答が出揃ったところで、先生が次のスライドを見せるとそこには数え切れないほどの無数の星が。「はい、数えてみてね(笑)実は見つかっているだけでこんなにあるんだよね。なんと百万個以上!」想像を遥かに超える多さに驚愕する塾生たち。
次に、はやぶさ2の目的地をリュウグウにした理由について。
先生は、ただの点にしか見えない望遠鏡で撮影したリュウグウの写真を見せ、惑星科学者たちはこの望遠鏡写真から多くのことを分析し、リュウグウが炭素と水でできていると推測したと説明。そして、リュウグウをはやぶさ2の目的地にした理由は、地球に近く、人間の起源や水の起源について調査できる小天体であったためだと津田先生は言います。
リュウグウまでの往復は、初代はやぶさが完成させた惑星間往復航行の”三種の神器” ①高効率推進機関(イオンエンジン)、②軌道制御技術(スイングバイなど)、③高速大気突入技術(カプセル技術)と、地球を出発させる時のロケット技術を組み合わせました。
そして、はやぶさ2の打ち上げ時の様子を映像で紹介し、「人類代表の使節団が初めて新しい星を訪れる。そんなわくわくした気分で探査していました。」と当時の気持ちなどを話されました。
その後、直面したのは、はやぶさ2をリュウグウのどこに着陸させるかという問題でした。探査をしていくと、リュウグウは想像以上にでこぼこしており、平坦な土地があまりないことがわかってきました。そこで津田先生たちは、4か月かけて着陸のためのソフトウェアをアップデートし、着陸を成功させました。この作業には600人ものメンバーが関わったそうです。
こうした努力の結果、2回にわたりサンプルを採取することに成功したはやぶさ2。その後1年をかけて、サンプルが入ったカプセルを地球に送り届けました。カプセルの中には5.4gもの黒い石のようなサンプルが入っており、現在、これを世界中に配って解析を進めています。
最後に津田先生はご自身の経験とともに、「好奇心と人との縁を大切に!」と伝えました。
「はやぶさ2の成功は夢が叶ったわけではなく、小さな興味を育てて挑戦していくうちに夢のようなことが起きたということ。」と話しました。それに加え、はやぶさ2プロジェクトを成功に導いたチームワークに関して、人との「縁」、出会いを大切にしてほしいと塾生たちに伝えました。
これからの学習で大切にするべきことや意識を学べた今日の講義。
今後の人との縁を信じて挑戦し続けてほしい。OBとして、そのようなことを思った瞬間でした。
(15期生 酒本悠希)