「社会に科学の価値を届ける」藤原 大介 キリンHD ヘルスサイエンス研究所長
創造性の育成塾ももう折り返し地点!3日目に突入しました。
「皆さんこんにちは!」明るく塾生に呼びかけて始まった講義、「社会に科学の価値を届ける」。1時限目はキリンホールディングス株式会社 執行役員 ヘルスサイエンス研究所長の藤原大介先生の講義です。
人類は抗生物質という万能薬を用いて細菌の脅威を乗り越えたが、ウイルスはどうか。ウイルスは万能薬を作れず、ウイルスに対して人類はほとんど何もすることはできない。そこで、「どんなウイルスにも効くようなものを作りたい」と思った先生。自分の免疫を強化すればいいのではないかと考え、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を乳酸菌で活性化させることを思いつき、「プラズマ乳酸菌」を発見したそうです。
ここで、先生からのプレゼントが届きました。KIRINが販売しているプラズマ乳酸菌飲料「おいしい免疫ケア」です。
塾生たちはボトルの成分表示を見て、前半の講義を振り返りながら味わいます。振り返る間に次々と疑問が浮かんでくる塾生たち。先生にたくさん質問しながら、理解を深めていきました。
講義の再開です。プラズマ乳酸菌を世の中に届けるためにはどうすればよいか。理科の話から社会の話に発展していきます。
開発当初の法律では食品に「免疫」と書くことができず、30年間食品会社はこの課題を解決することができませんでした。この課題を解決すべく、先生は様々な医学会を回り、有識者からの賛同を受け、免疫効果の裏付けを取っていきました。そこで、諦めずに話し続けることを学んだそうです。
こうして市販化に成功しましたが、次の課題「消費者に伝える」という壁にぶつかります。そこで、国民に免疫の機能を知ってもらうためにあえてテレビCMでも専門的な内容を放送しました。「お金が欲しいわけではありません。プラズマ乳酸菌の効果を日本中に届けたい。」先生は熱く語ります。
講義もまとめに入りました。 自分にしかできない発見をする、見つけたら伝える、信念をもつ。この3つを塾生に伝えたいとして、「人の猿真似はしないでください。力技で発見することはできません。仮説を立ててください。そして、他人に流されないでください。科学は、人を動かす力を持つ最も強いもの。科学の力を疑ってはいけません。」と藤原先生は力強くおっしゃいます。
「結局、日本に残っているのは我々の脳みそ。意思を手放さないでください。またどこかで会えるかなと思っております。」塾生にやさしく語りかけ、講義を締めくくりました。
質疑応答では多くの塾生が質問し、「良い着眼点だね。素晴らしい。」と先生は褒めてくださいました。藤原先生を見つめる塾生の目は輝き、未来の自分に思いを巡らせているようでした。
(15期生 田村晴)