「考える力の鍛え方」上田 正仁 東京大学大学院 理学系研究科 教授

1時限目は、東京大学大学院理学系教授である上田正仁先生の講義です。
「“考える力は才能だ”という言葉に、努力している人ほど悩む。だけど、実際は考える力も鍛えることができるんだよ。」と、塾生に優しく語りかけるように講義を始められました。

上田先生曰く、考える力=脳の「筋肉」であり、考える力はトレーニングによって鍛えることができるそう。また、トレーニング習慣は快感を伴うように、考えることも習慣が身につくと楽しくなるため、考える力がより向上するという好循環が起き、考える力をさらに鍛えることができる。そのような考える力の鍛え方を中2の頃から習慣づけてほしいと上田先生は言います。

次に、優秀さの基準となる力の変化とその相互関係についてお話しされました。
優秀さにおける評価基準は人生のステージによって変化していくため、その変化を理解し、心の準備をすることが大切です。その力とは、大学入試までの、問題を時間内に早く、正確に解く「マニュアル力」、大学以降での、一つの課題について粘り強く取り組む「考える力」、言い換えると最後まで考え抜き「本質を見抜く力」、大学院以降での、自ら課題を発見し、独自の解決策を編み出す「創造力」の3つです。しかし、基準が変わるからといって他の力が必要でなくなるわけではないと上田先生は言います。

例えば「マニュアル力」は企業の品質の保障や、それぞれの分野における基本の型・考え方を学ぶことにおいて必要になります。このような型などを論理で組み合わせて構成したものが「学問」であり、創造性は新しい型(考え方)の創造であるため、マニュアル力なしでは創造性を用いて学問を究めることはできないのだそう。

最後に上田先生は、偉大な物理学者ゼーマン博士など有名な科学者たちを例に出して、「諦めない限り可能性は広がり続ける」と伝えました。「人は自分に才能があるかどうか悩み続ける。しかし、才能ではなく、可能性と置き換えるとこの問題の解は存在する。人の可能性は、自分がここまでと観念したときに定まる。つまり、諦めない限り、君たちの可能性は無限なんだよ。」と上田先生は言います。

受験などを来年に控える生徒もいて、将来に漠然と不安を抱く塾生たち。
今日のご講演は、行き詰まり、苦しくなった時の支えになることでしょう。

 (15期生 酒本 悠希)

講義動画


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