【土山 絢子・5期塾生】
みなさん、こんにちは。5 期生の土山絢子です。
最近の「今日のひとこと」は頻繁に更新されていて驚きました。10 期の西村さん、8 期の勝濵さん、 13 期の國井さんら後輩塾生の活躍に圧倒されながらも、先輩塾生としても負けていられないと思い、ご報告させていただきます。
昨年の 12 月 4 日(火)から 12 月 12 日(水)まで、スウェーデンで開催された「ストックホルム国際青年科学セミナー(通称:SIYSS)」に国際科学技術財団より選抜され、2018 年度の日本代表として参加しました。1987 年以降、SIYSS へは例年 2 名の日本人学生が派遣されています。派遣先での主な活動として、世界各国から集まった若手研究者とともに、現地の高校生に向けて研究発表を行い、ノーベル賞のレセプションや授賞式など数々のノーベル賞関連行事に参加するという貴重な体験をさせていただきました。ここでは、プログラム期間中に行われた 2 つのメインイベントについてご紹介いたします。
Ⅰ. SIYSS セミナー;現地での高校生に向けた研究発表
プログラムの前半では、1000 人を超えるスウェーデンの高校生に対して、世界19 か国から集まった 25 名の若手研究者とともに自身の研究発表を行う SIYSS セミナーに参加しました。OG として参加した昨年度の夏合宿の「今日のひとこま」でも紹介されていましたが、私は現在、東京工業大学で地震学分野の研究を行っています。地震学に馴染みのないスウェーデンの高校生に理解してもらえるように、なるべく専門用語を使わず、簡潔に、時には小道具や簡単なクイズを出題して現地の高校生と交流しながら発表を行いました。馴染みのない分野に対しても興味を持ち、積極的に質問を投げかけてくる高校生の積極的な姿勢に圧倒されつつも、彼らとの議論を通じて、より多くの人に研究内容を理解してもらうことの大切さに気づきました。
Ⅱ. ノーベル賞関連行事への出席
プログラム後半では、その年のノーベル賞受賞者による基調講演をはじめ、招待客のみ参加できる祝賀会や授賞式、アフターパーティーなどに参加しました。祝賀会では、第 9 回夏合宿で講義をしてくださった本庶先生と直接お話させていただく機会があり、科学者としての貴重なアドバイスをいただくことができました。また、海外のノーベル賞受賞者ともお話することができ、研究者としての姿だけでなく、研究に対する熱意や周囲の人への感謝の心など、メディア越しでは伝わらない受賞者の素顔を見ることができました。
「科学の頂点」であるノーベル賞に関する行事に参加できたことは、かけがえのない経験でした。そこで学んだことは、「科学としてのつながり」の大切さです。2018年度の物理学賞および化学賞は、どちらも生物分野の研究に関連しており、物理や化学領域での成果が生物分野に応用されている様子がよくわかります。科学と技術は分野を超えてともに発展し続けるものであり、科学者はあらゆる分野に対する好奇心を養う必要があることを感じました。人類の平和と発展のために、基礎研究の成果は国内だけにとどまらず、より多くの人の目に届けるような心持で自ら発信し、世界中の人々の力を借りて研究の先にある未来を創る必要があると気づいた一週間でした。
写真提供:国際科学技術財団
参考 HP:http://www.japanprize.jp/siyss.html