第20回夏合宿にご応募いただいた皆様、誠にありがとうございました。

厳正なる選考の結果、下記の38名を第20期塾生に決定いたしました。

また、選考委員より各問題の総評が届いています。
ご応募いただいた皆様の今後の研究の参考にしていただきたいと思います。

選考総評

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<選考問題①>

この課題は、身近な材料を用いて「音を遮る箱を作る」というものでした。箱の大きさや質量に制限がある中で試行錯誤し、多様な材料や構造を検討する皆さんの姿勢は、まさに科学の探究そのものでした。

科学の学びは、結果の正否だけではありません。「事前に書籍で調べ、また、相談し知識を得る」、「実験の見通しを立てる」「実験でデータを集める」「データを解析して評価(考察)する」、「考察をもとに改善する」という一連のステップを踏むことが、重要です。また、この試行錯誤こそが科学の醍醐味でもあります。

限られた時間の中で結果を出すことも大切ですが、ぜひ今後の活動で、考え、試行錯誤する楽しさを大事にしてください。身の回りの「なぜ?」という疑問に対し、自分の頭で考え、手を動かし、納得いくまで検証を繰り返す。そのプロセスこそが、皆さんを真の科学者へと成長させるのだと思います。

<選考問題②>

この問題は、第1学年で履修する化学領域の混合物の分離に関する問題でした。第1学年の理科では、分離方法として、ろ過や蒸溜といった手法を学びますが、どのような場面でそれらの方法を使うことが適切なのか、またろ過や蒸留といった方法が使えない場合、どのように混合物を分離すればよいのかをポイントとしました。また、得られた分離物の透明度や純度を測定することで、行った実験が正しいものであったかを検証する振り返りの場面を設定し、研究者として今後、どのように研究に取り組んでいかなければならないのかを考えてもらうことをポイントとしました。

応募者の作品を評価する際、混合物の分離では、ろ過や蒸留といった方法以外にも、タンパク質の凝固・分離を生かした方法、凝固点降下を利用した方法など、場面に応じて様々な方法を試している様子がうかがえました。また水質調査では、pH、EC(電気伝導度)、TDS(総溶解固形物)、吸光度などを測定し、多角的な観点で結果を検証する様子もうかがえました。作品全体を通して、レベルも高く、トライ&エラーを繰り返し、課題に真摯に取り組む姿勢が素晴らしかったです。

将来、研究を進めるに辺り、「再現性」ということ言葉を大切にしてほしいと思います。1回限りの実験ではなく、複数回実験を行い、同様の結果が得られた場合、その実験データの信頼度が増すことになります。時間もかかり大変は作業ではありますが、多くの研究者が自分の実験に自信をもつために行っているとても大切な作業です。今後の皆さんの活躍を期待しています。

 

<選考問題③>

「ペットボトルから早く、そして正確に鍋へ水を移す方法」について、多くの生徒がさまざまな工夫を考え、レポートにまとめていました。しかし、考えた方法そのものだけでなく、その方法をどのように実験し、どのように考察したかによって、レポートの内容には大きな差が見られました。この差が採点にも大きく影響しました。

例えば、
・鍋から跳ねて飛び出した水の量を正確に量り、実験方法の妥当性を丁寧に検証しているレポート
・何度繰り返しても同じような時間で水を移せるか、再現性を確かめながら考察しているレポート

このように、一つの課題を深く掘り下げ、実験の精度や再現性まで踏み込んで考察しているレポートは、より高い評価につながりました。科学の学習では、自分で多様な視点を持ち、実験し、結果を整理し、そこから考察を重ねていくことがとても大切です。今回の課題を通して、その面白さと奥深さをこれからも学んでいってほしいと思います。

 

<選考問題④>

複数の植物の発芽するときの力の大きさを調べる方法を考え、比較する問題でした。

多くのレポートが、発芽日数や測定しやすい種子の形状、発芽後の植物の大きさなどを考慮して、実験に用いる種子を適切に選べていました。

出題から応募までの期間が短かったため、十分な回数の実験を重ねられなかったという記載もありましたが、「提出の締め切りが過ぎた後も、さらに良い方法がないか考えたい」と前向きな振り返りをしているレポートも見られました。

今回、皆さんから様々な測定方法が提案されていましたので、ぜひ自分で考えた方法を何かの機会に実際に試して、活用してほしいと思います。

今後も身の回りで疑問に思うことがあれば、自ら試行錯誤して探究する姿勢を大切にしてください。

<選考問題⑤>

運動している物体の速さが小さくなる主な要因は、物体に働く摩擦力です(正確には「運動摩擦力(または動摩擦力)」といいます)。摩擦力は運動を妨げる方向に働きます。

運動する球体の速さを一定に近づけるためには、球体に働く摩擦力をできるだけ小さくします。そのためには、例えば「発泡ポリスチレンの表面をできるだけ平らにする」「表面の凹凸ができるだけ小さい球体を選ぶ」といった条件について考察する必要がありました。この課題に取り組んでくれた方の多くは発泡ポリスチレンの表面に注目していましたが、一つの条件・仮説について思考した後に「本当にこの考え方でよかったのか」「もっと別の考え方はないのだろうか」とさらに思考できると探究が深まっていきます。身の回りの不思議について、これからも探究していきましょう。

余談です。少し難しい話ですが、理論的には、球体の質量は「一定の速さで進み続ける運動」には関係しません(実際には、球体の質量や体積が大きくなると、発泡ポリスチレンが変形したり、空気による抵抗が大きくなったりするため、質量や体積の影響が現れる場合があります)。いつでも理論と実験結果が一致するとは限りません。ぜひ書籍やインターネットなどを活用しながら、自分でも観察・実験を行い、その理由を探究してみてください。