第17回夏合宿には、今年もたくさんのご応募をいただきました。
ご応募いただいた皆様、誠にありがとうございました。

厳正なる選考の結果、下記の40名を第17期塾生に決定いたしました。

また、各問題の選考委員より、総評が届いています。
ご応募いただいた皆様の今後の研究の参考にしていただきたいと思います。

選考総評

選考問題を見る

・選考問題①
身の回りにあるものを使って同じ温度を保てる容器を自作し、5℃と55℃の液体を入れたときの温度変化を測定する問題でした。
限られた応募用紙の中に容器や容器の周りに巻く素材について、インターネットや文献で調べるだけではなく、検証実験を行い、素材検討の過程を載せてくれた報告がありました。実際に市販されている水筒の温度変化との比較をすることで自作容器の完成度の高さを示す報告もありました。
また、グラフの縦軸、横軸の値に単位が記載されていない報告がありました。実験結果を分かりやすく正確に他の人に伝える工夫も心掛けてください。
今後も身の回りで疑問に思うことがあったら、自ら試行錯誤して調べてください。
・選考問題②
この実験でポイントとしたのは、
① 打球面を細分化してたくさんのデータをとっている
② データの読み取り方
③ データのまとめ方
④ 打球面に正確にボールを当てる方法の工夫がなされている
です。
①では、細かい人で打点を2cmに区切って調べた人がいました。より細かなデータを取ることで実験の精度が上がるはずです。
②は、ほとんどの人が動画のアプリを活用してデータ測定していていました。アプリを使用し、スロー再生などを活用することで正確なデータの読み取りが可能になります。今回は多くの人が確かなデータを取ることができていたようです。
③は、ラケット面の図を用いて、跳ね返りの大きさを数値や色分けで示して結果を見やすくした人、ボールの跳ねた高さと50㎝の高さに到達するまでの時間を測定し、クロス集計した人が高評価を得ました。
④では、「固定したラケットにボールを当てて跳ね返らせる方法」よりも「ラケットを振り子のように動かして、静止しているボールを打つ方法」の方がより正確にボールを当てられていたように感じました。
また、ラケットを振り子のように動かして使う実験を採用した人の中には、「ラケットは、手で持って振ることでボールを打つので、この方法の方がラケットにはたらく慣性モーメントまで再現できる」と考えた人もいました。ここまで深く考えて実験を行えると素晴らしいですね。
 ・選考問題③
いろんな視点から、地球温暖化を防止するための方法を示すレポートがたくさんありました。
自分の考えた「温暖化防止の方法」が、どの程度効果があるかを検証するために、実験を工夫して行っているか?その結果をもとに、どのように論理的に考察しているかが評価のポイントです。また、結果を定量的に(数値をもとに)考察していると、さらに実験レポートの評価が高くなります。
この問題は自分でアイデアを考え、実験の方法から自分で決めていかなくてはいけないので、考える範囲が多くなります。この課題に取り組んだ生徒は、たくさんのことを自分で考える科学の学習に挑戦したことに自信をもってほしいと思います。これからも、実験によって、地球の課題解決について考えることに挑戦してほしいと思います。
 ・選考問題④
同じ力・一定の質量という制限があるので、より遠くに飛ばすには床との摩擦や空気抵抗をできるだけ小さくし、力を効率よく消しゴムに伝えることが必要です。
皆さん上記のことを実現するためにいろいろな工夫をしていました。その中でもなぜそのような結果になったのか考え、その考察が正しいか確かめるためや、得られた結果からさらに工夫を加え発展させた実験をするなどの素晴らしいものがありました。また、結果を表やグラフを使って分かりやすく表現しているもの、なぜそのような結果になったのかしっかり根拠を示して表現できるいるものもありました。このような観点でもう一度自分の応募用紙を振り返ってみてください。足らないと感じるところを見つけられたら、そこが自分の力を伸すための出発点です。
 ・選考問題⑤
 安定して進む帆船をつくることを目的としました。タッパーのサイズ、帆の材料や大きさ等に制限を設けませんでした。
巨大な帆船を模して帆やマストを多くするとバランスがとりにくくなってしまいます。おもりやフィンキール、帆やマストの材料と取り付け方を工夫する様々なアイデアでバランスをとることに成功しているものも多くありました。「船」ですので水に浮かべてデータ取りをすべきところで、タイヤや台車を付けて床の上で行ったのでは「安定した船」の実証になりません。

素材や条件を決め、1~数枚の帆の形や位置を試行錯誤して、より安定した船を浮かべて風を当ててみる、さらに検証してやり直してみる、そういった探究の過程をレポートにしっかりまとめあげたものが多く選考に通っています。探究の流れの経験を、今後に生かしてほしいと思います。

※全体として (事務局から)
せっかく素晴らしい回答をしてあっても、PDFデータの保存状態が悪く、文字や図等が薄すぎてほとんど読み取れないものがありました。コンビニのコピー複合機でスキャンして、USBメモリーやWi-Fiでスマートフォンにpdf化して保存することができます。カメラで撮る場合でも暗い場所ではなく、明るい場所で撮影するとデータが見やすくなります。応募しようとしてこの文章にたどり着いた2年生の皆さんは、どうすれば人に伝わるか考え工夫してみてください。